「俺が好きなんだからそれでいいの」

「よくねーよ!」


はディーノの後頭部を叩いた。

「なんでだよ」

「好きなんて幻想に妄想で勘違いの象徴だから」

「甘いな。愛って言うのは」

「うっせーな。いい加減黙れよ」

長い語りに入りそうになったディーノの後頭部に今度は銃を突きつけた。

「大体なんでボスの仕事に付き合うわけ、私が」

「なんでって、一人の夜が寂しいからだけど」


都内の高級ホテルの最上階。

カーテンも全開の為外には煌びやかな街並み。


「ならすぐに部下でも呼べ」

突然緊急事態だ、とディーノに呼び出されたはこれ以上は付き合いきれないとばかりに踵を返した。

この部屋に入ってからまだ座ってもいないまま。

「ボスの命令、でも帰るのか?」

「キャバッローネのボスだろ、お前は!」



「だから何度も言わせるなよ」




俺が好きなんだからそれでいいの





27-06.2007