この世界。この海。この時代。この瞬間。


「あたし、サンジが好き」


朝日が眩しい。潮風が心地良い。

こんな日は特別煙草が美味い。


「好き」


はっきりとまたは想いを告げた。

いつからだろう。そんな素振りに気付けなかった自分にサンジは少しガッカリした。


「俺も好きだよ」


特別お洒落をしているワケでも気合を入れているワケでもなく。

普段通り、昨日の夜に「おやすみ」と別れつい今方「おはよう」と。

「よかった」

ただその後の一歩は無かった。

「それだけ?」

「うん」

好きだと言われたのにこんなにも悲しい事は無い。

気持ちが通じ合ったのにキス一つ、それどころかサンジは未だにすら触れていない。

「・・・・これって、運命の人ってとこかな」

「サンジがあたしの?」

「いや、が俺の」


だとしたらここで決めなきゃ終わってしまう。



「あのさ」


運命の人ってとこかな









16-08.2007