遅れて部室のドアを開ければが過剰に反応した。 「あっ。すみません、驚かせて」 「こっちこそ」 露骨に顔を背けて謝る。 こういう勘は鋭いと時に困る。 「またですか?」 実際本人に尋ねたのはこれが初めてだったが鳳が以前から知っている事ぐらいも知っていた。 「まぁ、そんな所」 「先輩も物好きですよね」 「ホントにね」 まだ合わない目線。 こんな場所で大泣きするとどうなるかぐらいはわかっている。 けれど涙が滲むのを抑えられない程追い込まれているのも確かで。 「先輩」 泣き顔なんて見られたくないだろうし、鳳もまた今は顔を見られたくない。 「・・・・好きでも無い子にこういうのはやめた方がいいよ」 「わかってます。でも泣かれるのに弱いんですよ・・・」 好きとか嫌いとか憧れとか先輩とか後輩とか。 線を引くなんてこの気持ちには出来無い。 ただ抱きしめるだけ。
29-09.2007 |