それはもう、見事にコケました。 隊長副隊長全員に収集がかかり集まったまではよかった。 私は言ってしまえば雑用係で山本元柳斎重國総隊長の一声で動く死神。 例えば「床に落ちている糸クズを拾え」でも私には立派な命令なのである。 言われれば迅速にかつ冷静に対処しなければならない。 そして今日もお呼びがかかり私は扉を開けた。 「失礼します」 正座で挨拶を済ませ山本元柳斎重國総隊長の元へと向かう。 当然護廷十三隊隊長副隊長達は私に見向きもしない。 が。 「ギャ!」 なんとも無様に顔面からコケた。 元々沈黙だった空気が更に研ぎ済ませれたのがわかると私は益々体勢を整えられない。 あぁ、死にたい。 起き上がってすぐに首を刎ねられるかもしれない。 それならまだマシだ。 十二番隊隊長経由で技術開発局に回され実験材料にされでもしたら、と思うと更に体勢を整えられない。 あぁ、消え去りたい。 「剣ちゃん、ポン起きないね?」 草鹿副隊長、なんで突っ込むんですか。 あの更木隊長ですらこの失態を目の前に突っ込まれても黙ったままじゃないですか。 顔は見えないが絶っ対松本副隊長と阿散井副隊長は心の中で笑ってる。 絶対だ。 唯一心配してくれそうなのは四番隊と五番隊の四人かな・・・・。 ヤバい。 そろそろいい加減起きないと。 「・・・・っ!」 覚悟を決めたと同時に身体が浮く。 床を見れば綺麗なまま。 よかった、鼻血は出てない。 でも額は赤くなってそうだ。 「おい、大丈夫か」 この低音の声は檜佐木副隊長だ。 「はい、なんとか」 位置的に一番近かったのがどうやら九番隊のようだ。 私の反応を見て檜佐木副隊長は手を離すが頭を強打したせいかどうにもフラつく。 「東仙隊長、医務室に行って来ます」 いむしつにいってきます? と理解するより先に私はまた浮いた。 「山田花太郎がいますから手当てをしてもらいなさい」 卯ノ花隊長の言葉になぜか檜佐木副隊長が礼を言う。 「あ、あの!自分で歩けます!檜佐木副隊長は戻ってください!」 俗に言うお姫様抱っこで廊下を歩かれていたので慌てて申し出るが聞き入れてもらえず結局医務室まで運ばれた。 「お前でもこんな失敗するんだな」 ベッドの上で頭を氷嚢で冷やしていると檜佐木副隊長が椅子に座る。 「大変ご迷惑をお掛けしました・・・・」 「気にするな。面白いものが見れて寧ろ感謝してる」 あ、コイツちょっと嫌味な人だ。と思うが口には出さない。 切られそうなので。 「もう忘れてください・・・・」 「それは、無理だな」 コイツ性格悪いんだな。と思うより早くキスされて思考が止まる。 「俺の傍で倒れてくれて感謝してるんだ。お前何気に人気があるから」 あぁ、コイツは手が早いのか。と思えばもう立ち上がる。 「どん臭いも俺はいいと思うけど」
19-07.2006 |