季節外れの寒さを耐え、斑鳩は布団に包まっていた。 もうすぐ眠りに落ちる。 その瞬間を見計らったようにインターホンが鳴り響いた。 斑鳩は無視を決め込み頭から布団を被りなおす。 インターホンの次は直接ドアを叩く音。 「悟、開けてー!」 鳴り止みそうに無いその音。 近所から苦情が来る前に斑鳩は観念してドアへと向かった。 (無理やり抉じ開けないだけマシだよな) 「もう、どうせ開けるんだったらさっさと開けてよ」 両手で紙袋を抱えたは遠慮を知らずに部屋へと上がる。 「・・・・さん、もしかしてドア蹴ってました?」 施錠をして斑鳩もその後へと続くがは返事をしない代わりに紙袋をテーブルに置いた。 そして手招きをして斑鳩を向かいに座らせる。 「本日は依頼でやって参りました」 深々と頭を下げるに斑鳩も思わずつられて頭を下げてしまった。 「い、依頼って?」 「ASEからの正式な依頼です」 「ちょ!俺貧乏ですよ!」 ガタ、っと斑鳩は立ち上がって首を振る。 「依頼人は百舌鳥さんだからお金の心配は大丈夫」 はテーブルを叩き再び斑鳩を座らせた。 「そのままそこで待ってなさい」 「・・・・・はぁ」 はASE所属の料理人。 手際良く作られていく数々の料理。 大した時間もかからず、テーブルに皿が並んだ。 「あの、これって」 「百舌鳥さんがさ、どうせ悟はこの何日まともなモン食べてないから作ってやってくれって」 (そう思うなら報酬を上げてくれれば・・・・) 「流石にこれ全部は食べれないだろうから、日持ちするのにしたししばらくは生きていけるでしょ」 一仕事終えたは満面の笑み。 「それじゃあ、遠慮なく。いただきます」 「どうぞ召し上がれ」 は斑鳩が食べる毎に「美味しい!」と言うのをただ眺めている。 実は依頼などとは真っ赤な嘘で。 (食べ終わったら百舌鳥さんにお礼とか言わないように口止めしなきゃな) 「あー、俺今死んでも後悔しない気がする」 「そんなに幸せなら、どっかに毒でも入れておけばよかったな」 「え!」
07-04.2007 |