の視線の先にはタークスのエースがいる。

そして沢山の女の人。

種族も多種様々。

綺麗所で有名な秘書軍団に優秀で名を馳せている総理事務軍団などなど。

今は休憩時間。

運良く見つけたまではよかったが。


は壁にもたれて溜息を吐く。

自分はこの会社で一番不必要に近い職種。

つまりエレベーターガールである。

一日中密室に近いボックスに乗り上へ下へと行ったり来たり。

大半の社員はの名前など知らないだろう。

もっと言えば存在すら認知されてるかも不安である。

今日はバレンタインデー。

もう一度レノに視線を飛ばせば先程と変わらぬ光景。

溜息。

小さな紙袋の中のチョコレート。


(・・・・あれだけ貰ってるんだもん、私のだってきっと簡単に貰ってくれる!かも)


レノが社員達と別れてこちらに向かって来るのが見えた。

入社して三年目。

見かけた回数は両手で数えれる程。

会話らしい会話なんてした事も無い。

けれど。


「・・・・あの、レノさん!」

「ん?」

はレノの前に飛び出し下を向いたまま手を伸ばす。

「これ受け取ってください」

沈黙。

下を向いていてよかった、とは思う。

きっと今の自分の顔は真っ赤だろう。

「・・・・コレ、本命?」

「え!え、とその」

完全にパニックになってしまった。

視線を少しだけ上げると無数のチョコが見えた。

義理、と答えた方が簡単に受け取って貰えそうな数。

「いえ、義理です!」

本当は違ったが「本命です」とは言えず。

沈黙。



「・・・・義理ならいらねーぞ、と」

レノはが差し出したままの紙袋を奪った。

「本命なら大歓迎」

理解出来ずはレノを見たまま固まる。

「で、ホントはどっちなんだ?」

その台詞不に誘われるように、半ば無意識では答える。

「レ、レノさんが好きです」

「知ってるぞ、と」

「え?」と言う前にレノはの手を取り唇を落とした。

「レ、レノさん!」

その反応にレノはとても楽しそうに声を出して笑った。



I am エレベーターガール!







15-06.2006