願掛けをしているワケではない。

は吐いた息で温めるように手を口に寄せる。

目を閉じて。

息を吐く。

そして手を両頬に当てる。


銃は冷たい。

けれど一瞬で一気に熱くなる。

その温度差に負けないように少しだけ手を温める。

体温。

呼吸。

質感。




「お前も、案外弱いんだな、と」

そんな姿を見てレノは不機嫌に眉間に皺を寄せる。

今まで何度も何十回何百回と仕事をしているがそう言われたのは初めてだった。

「何を今更。何度もレノの前でやってただろ」

「そうだったか?」

「白々しい」

「もう二度と俺の前でするなよ、と」

レノは一足先に車を降りる。

も当然後を追う。


「私は、レノ程強くないんだよ」



怪我を怖がり死を恐れる。

痛みには敏感だし仲間が減れば悲しい。



「そんなんでよくタークスやってるな」

侮蔑の視線が無いだけマシな反応。

「一人ぐらいこういう人間がタークスにいても悪くないだろ?」

「まぁ精々一秒でも長く生きれるように頑張れば?俺はお前の最期を看取るなんてかっこ悪い事ごめんだぞ、と」

「その台詞、そっくりそのまま返すよ」

U-topia









11-07.2006