と環には妙な縁があった。 それは二人の知らない所が勝手に繋がっただけだが。 理事長の正妻だった前妻はの母親に当たる。 母親は理事長を快く思ってなかった。 そして環はもっと嫌っていた。 そんな母親を見て育ったせいかは【須王環】が嫌いになっていた。 「理事長は理事長なりに前の奥様を心配し想っていらっしゃるようだぞ」 再婚した事も、その後を生んだ事も知っていた。 「・・・・信じられない」 「そう思うなら環に直接聞けばいい」 「今更どんな顔して会えって言うのよ!」 「環は会いたがっていたぞ」 鏡夜はの眼鏡を以前と同じ簡単に外す。 「ずっとお前を見ていたんだ。そのお陰で俺もの存在を知ったんだが」 は鏡夜から視線を外す。 「ただ自分から話かけると拒絶されるんじゃないかと考えたらしくな。だからがホスト部に来た時は鬱陶しい程喜んでいたぞ」 「嘘・・・・」 「俺がこんな嘘を吐いてなんのメリットがあるんだ」 「それは、そうですけど」 何とも言えない表情のに鏡夜は手を差し出す。 「環はホスト部で待ってるが、どうする?」 はその手をマジマジと見る。 長く細めの指がバランス良く配置されている。 その手の上には自分の手を添える。 ゆっくり鏡夜の指が折れの手を包む。 「眼鏡、外してる方が俺はいいと思うが」 「こんな場所でも営業ですか?」 「そう思うか?」 意地悪い笑みだった。 はその笑みの意味を知っている。 だから返事をする代わりに目を閉じた。
27-03.2007 |