「あれ、隆也くん?」 「・・・・あ」 阿部の足が止まる。 三橋はそんな阿部を見てオロオロするが阿部は気付かない。 「久し振りだね。西浦に入学したんだ」 「えぇ、まぁ」 阿部とを交互に見比べ三橋はその入り込めない雰囲気に一歩下がる。 「野球部硬式出来たって噂で聞いたんだけど、入るの?」 「そのつもりで春休みから練習参加してるんっすよ」 「え、気付かなかった・・・・」 「殆どグラウンドしかいなかったんで。先輩こそ武蔵野行ったのかと思いましたけど」 「あー」 先程までにこやかだったの表情が曇る。 「アイツが隆也くんに言う訳無いか」 失敗した子供の様に笑う人だと三橋は思った。 「高校行く前にね、別れたんだ」 「・・・・あ、すみま」 「謝らないでいいよ、隆也くんのせいじゃないし」 一言で表せない沈黙が訪れるが教室からを呼ぶ声が聞こえたので長くは続かなかった。 「じゃあ、部活頑張ってね」 「はい」 そして二人は別れた。 「あ、阿部、くん?」 「なんだ?」 「い、今の人、知り合い、なの?」 「・・・・知り合いっつーか」
02-07.2006 |