っていつも何時に来てるの?」

朝練が終わり水谷はが渡したドリンクを受け取った。

「え、なに突然」

「だって、俺も結構早い方だけど」

水谷が来る時には既には居て、準備も完璧に終わりすぐに練習に入れる。

最もそれは篠岡も同じだが。

「だって私マネジだもん」

その笑顔につられて水谷も顔が緩んだ。




「はぁ」

「辛気臭い顔すんじゃねぇよ」

阿部は水谷の後頭部をノートで叩く。

「ふん!阿部には恋する少年の気持ちなんて理解出来無いんだよ」

口を尖らせて水谷は机に突っ伏す。

「つか恋する前に野球だろ」

「はぁ」

「・・・・そんな姿が見たら何て言うか」

花井が呆れ顔でその横を通り過ぎると水谷はガバっと起き上がった。

の前では俺はきっとかっこいいはず!」

その台詞を阿部と花井は見事にスルーした。






「うわ、やっべ!」

打撃練習水谷はホームランを打った。

とんでもない方向に。

田島は水谷を指差して大笑いをし、三橋は「ご、ごめん・・・ね!」と頭を下げている。

「あ、私が行くからいいよ」

ぶっ飛ばしたボールを拾いに行こうとした水谷より早くはフェンスを出て行く。

「ちょ、!俺が行くからいいよ」

結局は水谷もを追いかけフェンスを越えた。

「別にいいのに」

「でも俺が下手くそだから・・・・」

自分で言ってて情けなくなったので水谷は苦笑いになる。

「今は下手くそでもいつかはスタンドにホームラン打てるよ」

「そーなるといいけどなー」

「だって、水谷あんなに一生懸命練習してるじゃん」

ボールがこのままずっと見つからなければいい、と水谷は思ったがそういう時に限ってあっさりとボールは見つかる。

「さ、練習戻ろ」

!」

呼ばれては振り返ると水谷が持っていたボールを軽く投げたので受け取った。

「それあげるよ」

「・・・・備品だけど、コレ」

「そうだけど!絶対いつかが感動する様なホームラン打つよ!」

だから待ってて。と言うとを追い抜いて水谷は駆けた。

は手元のボールと水谷の背中を見比べる。

「どうせなら、甲子園で見たいな」

その水谷を想像すると元気が出た。


この三年間が終わらなければいい、と。

これからの僕ら。








28-01.2007