このクラスの生徒は仲が良い。

それはきっと平と万里の影響だろう。

「万里とって付き合ってんの?」

放課後居残って話をしたりする事も少なくなく。

「あのさー、俺はいいけどにはそれ言うなよな」

そう答えた万里は笑顔では無かった。




誰にでも優しい万里の周りは「勘違いをする女」か「勘違いをしない女」と分類される。

私は後者。

けれど


、悪りぃコレ担任に届けてくんない?」

「はいはい」


多少他の子と扱いが違うとは認識している辺り、立派な「勘違い女」だとも思う

「サンキュー、愛してる!」

急いで帰宅する万里の放課後を知る程親しい恋人なワケではなく。

中身の無い言葉が尾を引いた。

ただ一言聞けばいい。

万里は答えてくれる。

友情か、同情か、愛情か。

に知る術が無いだけで。




「平、万里知らない?」

先程渡されたプリントを提出しに行くとなんと不備があった。

「さっき頼まれたんだけど書き忘れがあったから」

平の目の前でプリントをちらつかせた。

「俺も万里待ちだけど、多分もう帰ってくると思う」

「平待たせてどこ行ってるの?」

「・・・・えーと、その」

天野平は驚くぐらい嘘が付けない、とは思った。

「言いたくないならいいよ」

その時はまだ笑ってられた。

教室のドアが開く、その時までは。

・・・?」

「・・・・・・コレ、書き忘れてたから再提出だって」

見たくない。

「あぁ、ゴメン」

「次は自分で出してよね」

見たくない。

「それと万里さ、唇にグロスついてるよ」

自分でも嫌な女だと思った。




どうやら私はやはり「勘違いをしていた女」だった。


今日最大の溜息を吐く。

足元ばかりを見て歩く。

もっとショックを受けて涙が出るかと思ったが、意外に普通。

それがなによりショックだ。

万里が好きな気持ちが涙一つ出ない程度なのかと。



「・・・・その内転ぶぞ」

「万里のせいじゃない」

「何が?」

「私がずっと勘違いしてたのは万里が優しくするからじゃない!」

「勘違いって?」

「・・・・なんでもない」

「待てよ」

「待たない」

「俺からすれば、はお利口さん過ぎなんだよ」

意味が分からず私は振り返る。

万里との距離は近くない。



「もうちょっと、お馬鹿さんになってくれると嬉しいんだけど」


首を傾げて万里は笑った。



にたものどうし。







28-01.2007