「あ、土方さん。客ですぜィ」


沖田は後ろを歩いていた土方に顎を向けた。

「ん?」

屯所の前に女が居た。

顔は見えないが身形は一般市民。

「オィ、何の用だ」

咥え煙草の厳つい男に声をかけられてもは動じる事無く頭を下げた。

「突然申し訳ございません。山崎は居りますか?」

元の位置に戻ったの顔をマジマジと見て沖田はポン、と手を叩き小指を立てた。

「あぁ、アンタ、山崎のコレじゃねーか」





「ちょ!沖田さん!」

「いいから黙って歩けって。ホラ」

屯所に戻った山崎を強引に引っ張り沖田はその背中を押した。

お陰で山崎は畳みに突っ込む。

「なんなんですか一体!」

顔を上げれば土方が顎で自分の横を指している。

「・・・・え」

「あ、おかえりなさい」

多少躊躇した顔でが座っていた。




「ついさっき戻って来たの」

呉服屋への帰り道。

「早く退に会いたくて。ごめんなさい、職務中に」

パトカーの助手席では目を伏せた。

山崎は乗車してからまだ一度も口を開かない。

「途中で足止めされて連絡も出来無くなって。・・・・怒ってる、よね?」

もう少しで呉服屋、と言う所で山崎は車を停めてハンドルの上に崩れた。


「明日、仕事?」

「ううん、お休み」

「じゃあさ、これからどっか行かない?」

顔をズラしてを見る。

その言葉の意味を汲んだのか、はニコリと微笑んだ。


(あ、限界)


ハンドルから身体を起こしてキスをする。




「・・・・シートベルト、邪魔なんだけど」

「警察官が何言ってるのよ」

「俺、真撰組辞めようかな」


いつでもどこでも触れていたい。

見たいたい。

感じていたい。


の事好き過ぎて死にそうなんだけど」


もう一度キスをする。

それでも足りない。


「でも私は仕事してる退が好きよ」


やっぱり死ぬまで辞めません。








08-09.2006