銀時は今日もパチンコに出向いた。 己のセンスと運を頼りに一心不乱に手首を回す。 地球に棒を刺し高速で回す勢いで球を回す。 金と魂をかけた真剣勝負。 に、今日も負けた銀時はフラフラと家路へと向かう。 「ん」 河川敷の簡易ベンチに座っている女。 (行きにもいたっけか、そーいや) 上品な着物に綺麗に結い上げられた髪。 伸びた背筋のまま座ってはいるが顔は若干俯き加減。 そのまま同じ様に足元を見れば鼻緒が切れている草履。 絶滅寸前の脳細胞が働き銀時は行動に出た。 「お困りでしたら万事屋までいかがですか」 謝礼金目当てなのが見抜かれたのか、「持ち合わせが間に合いませんので結構です」とバッサリ。 しかし銀時は引き下がらず 「いやいや、後日パフェ的なモンでも食わしてくれれば充分なんで。出来れば特大ジャンボの」 そんな銀時をは真っ直ぐ見つめた。 「このお着物は商売服ですので貴方様にお礼する金銭は持っておりません」 完璧な笑顔。微笑み。彫刻の様な。 銀時はこれ以上は無駄だと早々に悟り舌打ちをした。 「なら仕方ねーな」 草履を摘まみ上げに背を向けてしゃがむ。 「本日に限りタダでいいぜ」 「いえ、多分その内迎えが来ると思いますので」 時間に厳しい職業柄。 金稼ぎ道具に逃げられては困ると言わんばかりに探しに来る連中がいる。 「だからよぉ、オメーの行きたい所に連れてってやるっつてんだよ。つーかこのポーズ地味に恥かしいから早く乗ってくんないかな。乗ってくださいお願いだから」
01-04.2007 |