「最初はどうなるかと思ったけど、慣れると普通よね」 「なんの話や、いきなり」 「アレよ、アレ」 と、はつい先程通り過ぎた車を指差す。 「跡部がどないしてん」 「坊主になった時は腸捻転になるかと思うぐらい笑ったけど、なんかもう慣れちゃった」 「お前のせいで俺らがどんだけツラい目におうたかわかってんのか」 「ブサイクは三日で慣れるって言うけど、坊主は二日で慣れるね」 自分より大分背の高い忍足をは眺めながら歩く。 その視線に気付いた忍足はこれからの出来事を想像したのか露骨に嫌な顔で見下ろした。 「ねぇ、忍足も」 「絶対イヤや」 「まだ何も言ってないけど」 「言わんでええ。つーか口にして言葉にせんといてくれ」 「・・・・・その頭もっさいよ。モテないよ。キモいよ、はっきり言って」 「生憎このビジュアルがエエ言うてくれる子は仰山おるんで」 「忍足も坊主にしよーよ。ほら、宍戸も髪切ったし、跡部も樺地くんも刈ったし」 「意味分からん」 「氷帝のイメージ一新?部長が髪切ったら全員付いていかないと」 「理解不能」 「坊主に眼鏡とか、斬新じゃん!」 「斬新なんはおかっぱ一人で間に合うてる」 「じゃあさ、百歩譲って」 「何に対して譲んねん」 「ちょんまげは?忍足殿!とか」 「脱線すんのもエエ加減にせーよ、自分」 「氷帝テニス部プロデュースとか楽しそうだなぁ。今度企画書立ててジローとかに見せようかな」 「ハイハイ、勝手にしてくれもう」 「でも鳳君は現状維持ね」 「贔屓は駄目やと思いますけど」 「だってー、鳳君は坊主とかちょんまげとかおかっぱとか似合わないもん」 「さいでっか。門着いたんでこの話終了」 「ケチー!」
12-02.2007 |