「パーシヴァル様はどうしてそんなに上手く乗馬が出来るのですか?」

「それはですね」



それからひと月、私は彼の言うコツを実践していた。

なのにちっとも上達しない。

そんなある日、クリス様が私にお声をかけてくださった。


は毎日何をしているんだ?」

「上手く乗馬できる練習をしているんです」

「・・・・練習?」

「はい、私も微力ながら皆様の力になりたくて」

「お前のような市民にまで剣を握らせる事しか出来無いんだな、私は」

「いいえ、みな何かしらの形で戦ってます。私の場合はそれが戦場なだけです」


けれどもまだ実戦らしい実戦は経験していない。

理由は馬の上で戦う事が下手くそだからだ。

ただの乗馬なら問題無いがそうもいかない。


「で、それがその練習か?」

クリス様は眉を顰めて私を見ている。

「はい。パーシヴァル様にコツだと教わりましたが」


それは毎日馬に向かって「好きだ」と言葉に出して気持ちを伝える事。



「・・・・、パーシヴァルに騙されているぞ」



その言葉を理解するには衝撃的過ぎた。

私はあまりの恥かしさと彼に対する怒りで当然真っ赤になる。

「まぁ、いい事だとは思うがな」

「・・・・忘れてください」

とりあえず馬を放し私はスタスタとその場を後にする。

憎きあの男のキザったい顔面を殴り飛ばす為に。

居る場所は大体把握している。

どうせ騎士団の溜まり場に居る事が多い。

私は扉を開ける音よりも大きな声で名前を呼んだ。



「パーシヴァル!」



そしてらなんとあの男、待ってましたと言わんばかりに笑ってやがった。



信じられない!


S-MI-LE-!








16-08.2006