最初にあたし達に話かけて来たのは光だった。

「アンタたちは外見で見分けが簡単に付くんだな」

その一言が最初。

あたしは髪が長く、姉は短かった。

常陸院双子は分け目以外は全く同じ。

ある意味あたし達四人は対照的な双子同士だった。




「この手紙、かな」

馨が言っていたメッセージらしきモノはケースの中、ヴァイオリンの上に乗っていたこの封筒だろう。

包帯越しなので多少煩わしかったが丁寧に取り出し文字を追う。

内容はとても完結で簡素。

「お誕生日おめでとう」の文章と、光・馨、そして姉の名前。

元々は三人で用意していたのだろう。

涙が出るより先に笑みが零れた。

手紙をベッドの上に置き、は机の引き出しを開ける。

包装されたままの黒いケース。

「あの二人には敵わないな」

光と馨との三人で姉に贈るはずだったフルート。

「一緒に弾きたかったな」

はそのまま優しく引き出しを閉めた。




「おっはよ!」

「「いたっ!」」

「なによ弱っちいわね、これぐらいで」

思い切り平手を食らった背中はピリピリしているが満面の笑みのを見るとその刺激は甘くなる。

「これぐらいって、本気だったじゃんか」

「しかも不意打ちって。怪我してるとは思えない威力だし」

憎まれ口を叩いてはいてもその二人の表情は穏やかで、は間に入り二人と手を繋ぐ。


「二人共ありがとう。大好きだよ」



握る手を通して感じる。

光よりも馨の方が強く握られていると。

それに気付いては困った顔をして馨を見上げる。

「僕らもの事大好きだよ。ね、光」

「うん」


馨は光よりもずっとに優しい。

光が好きだ、と告げても「無理やり僕の事見て欲しいとか言わないよ」と。

その言葉を思い出してはほんの少し、馨と繋いだ手に力を込める。


play-ball 3








18.08-2006