ふと、一人で食事をしているとナイフとフォークが皿に当たる音しか聞こえない事に気付く。 今までは両親こそ忙しく滅多に一緒に食事などしなかったが姉が居た。 「・・・・あの」 は近くに立っていた世話人を呼び思いついた用件を述べる。 世話人は恭しく頭を下げ、「手配しておきます」とだけ答えて部屋を出た。 「「家を売る!?」」 「そう」 「なんでまた」 「折角いい家なのに」 「あたし一人じゃ広すぎてなんだかね」 事故で家族を亡くしてから随分経った今日この頃。 後継人、と称した伯父は人柄が良く、名称だけ預かるが実際は自分の好きにしていい、と言ってくれていた。 両親が残した莫大な遺産はが一生暮らすには充分な額があったので何も問題は無い。 事業は伯父に継いで貰った。 「昨日の朝に手配して貰って今日の夕方には全部書類になってると思うけど」 「じゃあこれからどうするの?」 「その後継人の伯父さんと住むの?」 「まさか。一人で住んでみようかなぁって」 「「え!?」」 「・・・・そんなに驚く事?」 「当たり前だろ!」 「お嬢じゃん!絶対無理だって!」 「でも使用人の人もあたし一人の為に何十人とか勿体無いし。部屋だって。全体的に効率が悪いのよね、今の状態」 はぁ、と溜息を吐くを挟んで光と馨はニヤリと笑った。 「だったらウチに来れば?」 「そうそう。一人で住むよりずっといいよ」 「悪いけど、もうアテはあるからその案は却下ね」 「「えー」」 「あ、さん。はいコレ」 そんな三人に近づくハルヒが持つのは茶色い封筒。 「あ、ありがとう」 は『賃貸契約』と書かれたその封筒を受け取る。 状況を理解した双子はそのの手を仲良く掴んだ。 「ちょっと待て」 「まさかとは思うけど」 「そうよ。藤岡くんの隣の部屋が空いてるからそこに住もうかと」 「「よりにもよってハルヒのお隣さん!?」」
28-08.2006 ⇒ |