張り出された成績表。 その最下位にある名前を確認する。 。 A組崖っぷち。 けれど焦ったりはしない。 なぜならの目的は『目立つ事無くA組に居る事』だからだ。 それなりの家柄。 それなりの友人。 試験など、本当は全てわかる問題なのだがあえて空欄で提出する。 A組は最低どの教科も七十点を取らなくてはならない。 は問題に振り分けられる配点をまず計算し、七十一点になるように問題を解く。 全て計算しているこの状況。 そして今日。 とある事を実践する。 「あの」 「はい?」 学年主席の藤岡ハルヒの机の前に立ち、少しはにかんで顔を見る。 「藤岡くんにお願いがあるんだけど」 「「ハルヒに何の用?」」 両脇の双子が敵意むき出しでに問いかけたのでハルヒはその後頭部を器用に両手でチョップした。 「なんですか?」 「私の家庭教師になって貰えませんか?」 「え、あ、いいですけど」 「「ダメダメ!」」 「ハルヒはホスト部なんだから無理」 「そうそう。どうしてもって言うなら指名料払ってよね」 踏ん反り返ってそう答えた双子の頬をハルヒはおもいきり抓り上げた。 「気にしないでください。自分なら平気です」 「「てか、ハルヒがよくても殿がよくないと思うけど」」 「・・・・殿?」 「あぁ。ホスト部の部長の須王先輩です。後で自分から説明しますから大丈夫です」 「そう。でも忙しいみたいだから藤岡くんの時間のある時だけで平気ですから」 ありがとう、助かります、とは頭を下げてその場を離れた。 「すみません、なんか・・・・」 ハルヒは自分の前に座っているに頭を下げた。 同じテーブルにはニコニコ顔の環もいる。 他の部員は各々遠巻きに三人を見ている。 「ハルヒはお利口さんだからなぁ。お父さんは鼻が高いぞ」 結局、許可自体はとても簡単に頂戴出来たのだがそれを面白がらない双子が「「さんがハルヒに恋しちゃってもいいの、殿!」」と発破を かけた為「ハルヒ、俺も手伝おう!」という流れになり今に至る。 「ちょっと黙っててください。大体接客はいいんですか?」 「ハルヒの一大事なんだ。ホスト部が全力を持って助太刀するのは当たり前!」 「いや、一大事って・・・・」 「さぁさん、好きな家庭教師を選んでくれ」 は内心この予定通りの展開に歓喜を覚えた。 後は「じゃあ、須王先輩で」と言えば完璧。 だがそれより早く 「なら、俺が引き受けよう」 と涼しげな返事が返ってきた。
05.09-2006 → |