放課後、ホスト部に行くまでは環が一連の流れを知ってしまった、と思っていた。 (鳳先輩が話したんだろうな)、と。 しかしドアを開ければ環は終始にこやかでずっと話をしている。 「と言うワケなんだ」 「そ、そうですか」 「環、そろそろ次のお客様を」 二人で随分と長い時間談笑していたようで鏡夜が営業顔で近づいてきた。 「おっと!もうそんな時間か。楽しい時間は光よりも早く過ぎてしまうようだ。では、また明日お待ちしております」 「え、明日!?」 その返事は笑顔で返され環はその場を後にした。 「最初からこうした方が効率はよかったと思うがな」 鏡夜は環が移動した為の横に座る。 「誤解の無いように言っておくが、俺は何も言っていないぞ。アイツが勝手に興味を持ったんだ」 「それって、私の事情を知ったからですか?」 「気になるなら本人に直接聞けばいい」 予約表を取り出し鏡夜はペンを走らせる。 「それで、予約は何時に致しますか?」 それから連日、はホスト部に足を運び環を指名した。 そして気付いた。 須王環は、阿呆だ、と。 「もう行くの止めよう」 環との時間を終え廊下を歩く。 正直もう疲れた。 そのまま図書館へと向かう。 迎えの車の時間まで大分あるので適当に本を取り出し読みふける。 少ししてすぐ目の前に気配を感じ視線を上げる。 「もうお勤めは終わったんですか鳳先輩」 「あぁ。俺の分はな」 「・・・・先輩、暇なんですか?」 「どうしてそう思うんだ?」 「よくお会いするんでてっきりそうかと」 はまた本に視線を落とす。 しかし鏡夜がその場を離れる気配は無い。 「あの、まだ何か?」 いい加減鏡夜の存在が邪魔になってきたので不快を表情に出して鏡夜を見上げる。 あ、と思うより早く。 唇が重なった。
06-01.2007 → |