はこの日、一日機嫌が悪かった。

けれど表面上にはそれを一切出さず時間を過ごす。

一度休み時間に双子に「「今日は何時に来るの?」」と聞かれ「もうホスト部なんて二度と行かないわ!」と怒鳴った程度。

そして軽い自己嫌悪。

あの二人は何も悪くないのに。と。


しかしもう二度とホスト部には行きたくない。

鏡夜との一連の流れを思い出しつい足音が大きくなる。

本当に一瞬だった。

唇が離れて、鏡夜の睫が目に入る。




「これから君がどうするか、とても興味があるんだ」


その言葉を聞いてはその清々しい頬目掛けて平手を投げた。

が、それはあっさりと交わされ挙句その手を掴まれる。

「最っ低!」






今日はホスト部の予約をしなかったのでキャンセルを言いに行く事も無い。

年齢も先輩後輩の為余程の事がない限り会う事も無い。

未だかつてこんなにも暗い気分になった事があっただろうか。


(・・・・あったわね、そう言えば)



自虐的には笑う。

今頭の中には環がいる。

最もそれはの中での出会う前の須王環。

顔も声も知らなかったがの中ではずっと【嫌い】な存在だった。


と同時に同じぐらい興味もあった。


だからこそ桜蘭に入学したのだ。

そしてなるべく目立たないように徹した。

最低のラインとしてA組在籍を狙って試験も受けた。

そんな折、環と接触するチャンスが巡って来た。

しかし実際の須王環はとてつもなく馬鹿だった。

それはもう脱力する程。

けれど話してみてわかったのはこれだけではなく。


(人に嫌な思いはさせない人だわ)


決して人を傷付けたりはしない。


でもにとっては環の存在そのものが傷付く。



消えてなくなればいい、とまで思う程。


A kitten is caught. 6









12-02.2007