あたし達はきっと今がむしゃらに走っている。 走って走ってその先に辿り着こうと必死になっている。 その足跡が残す意味を知るにはまだまだ子供。 「もういいだろ」 試合が終わり帰ろうとすれば平に見つかり芋づる式で万里にも見つかった。 その全てが予定外。 の足の速さは標準的だが万里はそれ以上のスピードを持っている。 逃げれば簡単に捕まってしまう。 このように。 「・・・・離して」 校内はまだ校内だが休日が手伝い今は二人きり。 先程までボールに触れていた万里の手はを掴んで離さない。 「もういい加減逃げるなよ」 「お願いだから、離して」 「本気で嫌だったら振りほどいてみろ」 その力はとても弱く。 けれどもには振り切れない力があった。 「こうでもしないと俺と話もしてくれないだろ」 「・・・・そんな事な」 「俺が傷付かないとでも思ってる?」 遮られて言われた言葉は一番聞きたくない事実。 「ごめん」 この気持ちの変化を上手く伝える術をはまだ知らない。 もどかしくてずつなくて。 もう万里の顔すら見る事が出来無い。 「はぁ」 溜息と同時に手が離れた。 「なんだろ。もっと上手く説明出来ればいいんだけど」 万里は頭を掻いた。 学校は勉強こそ教えるものの感情の伝え方までは教えない。 「俺さ、の事好きだよ」
14-08.2006 ⇒ |