(お願いだから、そんな顔しないでって) 仕事柄、と言ってしまえば格好が付くが、実際はいつも彼女を後回し。 自分の誕生日も彼女の誕生日も。 クリスマスや正月だって。 「・・・・ホント死んでくれないかな、あの人たち」 「え?」 そう考える矢先、思わず本音が漏れた山崎をは自分に問いかけられたと思い横を向く。 「あ、ごめん。なんでもないよ」 「急にどうしたの?」 「独り言」 「私がいるのに?」 彼女は優しい。 何度約束を破っても「会えなくなるわけじゃないから」と許してくれる。 こんな事が続くはず無い、とずっと思っているが彼女は今でも許してくれる。 初めてそう言った時と変わらず。 それが少し怖い。 もしかしたら明日急に別れを告げられるかもしれない。 振られる原因にも心当たりは充分ある。ありすぎる。 大切にしたいのに。 何よりも誰よりも大切にしたいのに、実際は違う。 「仕事の事考えてるの?」 日々の鬱憤を思い返している内に眉間に皺が寄っていた様でが足を止める。 手を繋いでいたので山崎も足を止めるが気付けばソコは屯所のすぐ傍。 あともう一度角を曲がれば入り口だ。 「まさか。の事考えてた」 「なにそれ」 照れているのか俯いて吹き出したを見て山崎の口元も緩む。 (キスしたいなぁ) と思い行動に出るが触れるより先に携帯電話が鳴り響く。 「・・・・電話だよ」 「あー、もう。なに、盗聴器でもつけられてるのかな。なんでこのタイミングで」 ブチブチ言いながらも山崎は電話口に出て相槌を交えながら返事をする。 そんな姿を見ては手を離し声を出さずに「バイバイ」と告げた。 「あ、ちょっと待ってください」 山崎は自分に対して背を向けきる前にの手を取り首を傾げてキスをした。
19-08.2006 ⇒ |