「俺このまんまやったらあかん」 忍足は部室で着替えながら独り言を言った。 「どうしたんだよ侑士」 「え、なにが?」 岳人がなぜ反応したのかわかりません、と言った物言い。 「・・・・今 俺このまんまやったらあかん って言ったじゃねーか」 「ホンマに?うーわー、もう独り言も喋ってまうぐらいにまでなってるんや」 あかんあかん、しっかりせな。と最早独り言の域を超えたある意味会話のような声のでかさで忍足は部室を出た。 残った岳人は鳳と顔を見合わせ首をかしげた。 「忍足ー!」 はデジカメ片手に忍足に手を振る。 ので忍足も手を振る。 そんな姿をはデジカメで撮影した。 「おい、勝手に撮んな」 「女の子はナチュラルを求めてるから仕方ない」 は新聞部で運動部、中でもテニス部担当であり毎日ブログを更新している。 担当のテニス部を毎日回り撮影し練習風景を当たり触り無い程度でレポート。 「今日の一発目の画像はコレにするか」 「え、ウソやろ!?もっとかっこええ写真にしろや」 「えー。そんな事言っても忍足って普段からかっこいいじゃん。そんな写真撮ってもなぁ」 忍足の頭に鳳サーブが直撃したような衝撃が走る。 そんな事露知らずなはスタスタとテニスコートに向かって歩き出した。 (・・・・俺、からかわれてんのか?) 今思えばと忍足は最初からこんな感じだった。 高校入って一年弱、新聞部のとテニス部の忍足。 クラスも一緒で仲良くならないわけが無い。 「忍足ー?おっしー?おーい?」 少し前でが忍足を呼んでいる。 なんともリアリティのある距離だ。 「練習行かなきゃ写真も撮れないんですけどー」 「コートで充電切れたとかダサい事言うちゃうやろな」 「もうその事は忘れてって言ったじゃんか!」 触れられたくない事にワザと触れると案の定はプリプリして先にコートに行った。 「・・・・あーもう、手遅れかもしれん」 これ以上本気になる前に誰でもええから彼女付作ろ、と忍足は心に誓ってコートに向かった。
11-06.2006 ⇒ |