複雑な事に、と忍足は二年目も同じクラスになった。 相変わらずは新聞部の仕事でほぼ毎日テニスコートに顔を出している。 「テニス部は新入生多そうだなぁ」 「そら、氷帝やし」 「よーし。将来有望な一年生を探すぞ」 「俺も可愛い年下の彼女探さな」 「忍足忍足、いい子いたらすぐ紹介してね」 「、新聞部主催で新入生可愛いランキング作ってくれへん?」 「嫌です。そんな職権乱用」 「なら俺もお断りします」 「いいもん、他の人に聞くから」 「なんでワザワザ自分の敵なんか教えなあかんねん」 とこまで本気かどこまで冗談か。 忍足はを名前で呼ぶようになり、は男子生徒の中で一番長く忍足と居た。 「あ、教科書忘れた」 「なにしとんねん、初日から。ったく、コレ使い」 忍足は机の上に出していた教科書をの机に置く。 「おっしーどうするのよ」 「サボる。かったるくて嫌いやねん、この授業」 「お土産はポテトがいいな」 「俺の分も奢ってくれるんやったら買うてきたる」 「教科書のお礼に奢ります」 「交渉成立やな」 チャイムが鳴ったが忍足は気にせず席を立ち教室を出て行った。 正直、忍足はもうこのままでいいと思っていた。 下手に彼氏彼女になり喧嘩したり不信感を抱いたりするよりは今の状態がずっと続く方がいい。 けれど状況は一変する。 と跡部が付き合い出したのはその一週間後。 すぐに別れると思った二人はそれから一年経っても続いていた。
19-06.2006 ⇒ |