きっかけはアイツに無理やり連れて行かれた試合。 「ほらアレアレ、俺らの対戦する学校」 男のクセに(しかもテニス部のクセに!)整った指が指し示す先は氷帝。 「わー、負けだね」 「試合する前からそんな事言う?普通「キャー!キヨくん頑張って!」とかでしょ」 運動音痴の私ですら氷帝は知っていた。 まぁ、色んな意味でだけど。 「そういう事は彼女に頼んでください」 「彼女は頼まなくても言ってくれるもん!俺はに言ってほしいの!」 「気が向けばね」 意地悪にそう返せばキヨは私の頭をぐしゃ、と撫でてコートに向かった。 「あ」 「ん?」 テスト中は流石に練習が無いので私はキヨと帰る事が多かった。 「おー、やっと来よった」 正門にもたれ掛かっていた忍足クンが手を上げる。 それはキヨにではなく私に対して。 「なんや、黙って待ち伏せとかめっちゃ緊張するわ」 「どうしたの?急に」 「顔見たなってん。あかん?」 「え、なに。なんで忍足クンが待ってるワケ?」 「あ、なんや千石やないか。いつからおってん」 「最初からいましたー」 敵意満々でキヨは私の腕を掴む。 「自分ら知り合いなん?」 「あー、うん。実はね」 「彼氏です!」 私よりも早くキヨが自信たっぷりで答えた。 流石の忍足クンも驚いている。 それはそうだろう。 「こらキヨ!」 つかさず私は腕を振り解きそのパーなオレンジ頭を殴った。 「従兄弟なのよ、コレ」 「・・・・の割にはなんやむっちゃ仲ええやん」 「当たり前でしょ。生まれた時から一緒でお風呂だって一緒だったんだから」 「いつの話よそれ」 「で、話戻るけど大体なんで忍足クンがここにいるのさ」 「なんでって。俺ら付き合ってるもん」
08-07.2006 ⇒ |