最初はホンマ普通困っとって声かけただけやねん。 試合後にジローと自販機行ってる間にアイツら全員さっさとバスに戻っとって。 戻ってきたら誰もおらん。 「あかん、置いていかれた」 「っぽいねー」 「しゃーないなぁ。タクで帰るか」 「俺財布ないよ」 「あー・・・・・。俺もやわ」 試合言うてもバスで来るしドリンク買う金はマネージャーから貰えるし盗難とかあったらあかん言うから基本的に財布は持たへん。 のが仇になった。 「歩いて帰るんはしんどいなぁ」 「誰かに借りればー?」 「誰かって、お前知り合いおるか?」 「いなーい」 ジローはたまにごっつしばきたくなる。 「ったく」 「おっしーナンパで落とせばいいじゃん。楽勝だよ」 まぁ、俺もそのつもりやけども。 で、丁度前通ったんがやってん。 「あのー、ホンマ悪いねんけどちょおお金貸してくれへん?」 「・・・・はぁ?」 「ちゃう。カツアゲとかちゃうで。俺ら学校のバスで来てんけど置いていかれて戻られへんくて困ってんねん」 「・・・・・」 「絶対借りた分はちゃんと返すしお礼もします。おぃジローも頭下げぇ」 ぐでーとしゃがんどるジローを立たせて頭を抑える。 「まぁ、いきなりこんなん言うても信じられへんわな」 「それは、そうですけど」 「呼び止めて悪かったな。別の子に当たってみるわ。ホンマすんません」 「えー、駄目なの?」 貸して貰えると思っとったジローがホンマに驚く。 挙句女の子に「絶対駄目?」とか聞いとる・・・・。 それにキュンときたんかただの同情か(後で聞いたら半々や言ってた)、女の子は笑ろうた。 で、二人分のバス代と俺の連絡先交換してそれでバイバイ。 その話を跡部にしたら「はぁ?電話して誰か迎えに来させりゃよかっただろ」やって。 それはそうやねんけど、まぁお陰でに会えたし接点も出来たしで俺からしたら全然面倒とかやないし。 ただ、あの千石の従姉妹とは流石に知らんかったなぁ。 それは面倒臭そうや。
12-07.2006 ⇒ |