「はい、コレ」 オープンカフェでランチを注文し終わると忍足はテーブルに封筒を差し出した。 「ホンマありがとう。助かったわ」 あれから一週間後に二人は会う約束をした。 「貸して貰ろてなんやけど、よう貸したよな」 「忍足クンが氷帝のジャージ着てなかったら貸さなかったかもね」 「俺氷帝でよかったわ」 「それにあの日氷帝との試合見て忍足クン達の事もちゃんと知ってたし。一方的だけど」 「あ、そー言えば応援に来とってんな。確か山吹やったっけ?」 「うん」 毎日では無いがこの一週間で二人は何度かメールのやりとりをした。 お互いの名前や学校等簡単な事を。 「見事に負かされましたけど」 「次も絶対負けませんで」 そしてそのままランチを終える。 会計は二人分忍足が払った。 最初は断ったものの「お礼やから」と押し切られた。 「折角やし、他にどっか行きたい所あったら言うて?」 「どっかって言われてもなぁ。・・・・あ!」 「ん?」 「忍足クンのテニスが見たい」 「そんなん試合で見たやん」 「あの時は一応山吹応援してたんでちゃんと見てなかった、気がする」 「一応って酷いな自分。まぁ構へんけど」 忍足は笑いながら手をの前に出す。 は当然躊躇するが忍足はそれを見越して強引に手を繋ぎ歩き出した。 「・・・・忍足クンって女の扱い上手だよね」 「え、いきなりなんなん!?」 「今だってさ、断る前に手繋ぐし。会話だってちゃんと見極めて話してるみたいだし」 「そら女の子好きやよ、やっぱし」 「噂通りだ」 「噂って?」 「忍足クン、山吹の子にも何人かちょっかい出してたでしょ?」 「あー、そう言われればそうやったかも」 「氷帝テニス部は部長筆頭にタラシが多いって結構有名なんですけどー」 「そんなん心外やわ。俺付きおうてる時は本気やで?」 「へー」 「あ、信じてへんやろ」 「現に今の状況がこれだし」 「ホンなら俺ら付きおうてみーひん?」 「・・・・はぁ?」 「俺今彼女おらんし、噂かホンマか自分で見極めてみんのもおもろいと思わん?」 「・・・・うわー、なんて軽い男」 「きっかけなんてそんなんやって。でも多少は好意持ってないとこんなん言わへんで?」 「うーん」 「ゆっくりでええから、俺ん事好きになってみーひん?」
14-07.2006 ⇒ |